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シクロスポリンAによる耐糖能異常発現機構と改善に関する研究

薬学部 医療薬学分野 高橋 則男 教授

研究内容

臓器移植後の拒絶反応を抑制するため免疫抑制剤は長期間服用する必要があります。服用を中止するとせっかくの移植臓器が廃絶されてしまうからです。

免疫抑制剤として繁用されているサイクロスポリンA(CsA)は、長期間投与に伴い膵臓障害による高血糖を惹き起こし、臓器移植後の易感染性や心血管疾患の罹患率上昇に関与することが長期投与時の懸念される副作用となっています。もし、この副作用が改善されれば、安心して長期にわたり服用することができます。

このCsAによる高血糖状態の成因のひとつとして酸化ストレスによる膵ランゲルハンス島の空胞化の関与が強く示唆されています。本研究室では、CsAに、抗酸化作用のあるω-3不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)を併用することで、CsA単独投与による高血糖状態が改善できるか研究しています。

動物を3群に分けそれぞれに、普通の食餌、CsA入りの食餌、CsAにEPAを併用したものを2週間与え、血糖値の推移、血糖値-時間曲線下面積、その時の各群の組織変性の程度を検討したところ、CsAを単独で投与したものよりもEPAを添加した群の高血糖状態、組織変性ともに改善されていることが判明しました(図1、図2)。これらの結果はCsAの投与時に抗酸化作用を有するEPAを併用することにより、高血糖が改善され臓器移植後の心血管障害の予防への可能性を示すものです。



[図1]



[図2]

 本研究室では、さらにCsAによる膵臓のランゲルハンス島の空胞化のメカニズムについても研究を推進しています。

 本研究は近大姫路大学の真島崇博士の創案に基づき本研究室の6年次学生佐々木一樹が中心になって研究を行っています。

違法薬物の一斉分析法の開発と違法薬物検出機関としての薬局の役割に関する研究

最近、厚生労働省のホームページ「健康被害・無承認無許可医薬品情報」には、やせ薬と称して利尿剤、強壮と称してED治療薬のシルデナフィルなどを添加した健康食品が販売されています。また、覚せい剤と似た成分MDMAを含有するハーブや違法薬物(危険ドラッグ)などによる死亡例や事故例を含む健康被害が多数報告されています。

健康被害を防ぐには迅速な対応、摘発が必要なのですが、これらの違法薬物は「手を変え品を変え」市場に大量にまき散らされるため摘発や回収が後手に回っているという現状があります。不審な薬品を薬局で分析し、その場で安全性を確認できれば、セルフメディケーションの観点からもとても役立つことと考えられます。

そこで、当研究室では、迅速な一斉分析(何種類もの成分を一度に分析する方法)に適した簡易分析法(例えば薄層クロマトグラフィーなど)を開発すること。そしてそれだけではなく、その技術を市中の薬剤師が修得し、薬局が違法薬物のスクリーニング機能を担うことで数少ない分析機関の最前線基地となり、大学はその後方支援を行うことで健康被害を未然に防ぐという「薬剤師・薬局および大学の化学的潜在能力を生かすシステム」(図1)の構築を目指し、その基礎研究をしています。


[図1]

ジェネリック薬品の統合的研究

ジェネリック薬品に関して、臨床的同等性分析や医療経済学的な分析など多面的な研究を行うことで医療費の節減や国民の健康維持に関する研究を行っています。

教員紹介
高橋 則男 教授