学部・大学院

講座紹介

生物学[口腔機能分子生物学講座]

沿革

昭和47年4月に本学(当時東北歯科大学)創立と同時に開設された生物学教室は、星野稔教授、吉田勝一講師、栗城源一助手の三人で出発し、昨年までは馬場麻人教授と今井元准教授の二人で運営されておりましたが、現在は今井元准教授の一人体制になっております。

当教室の沿革は;創設期として、星野教授を中心として教育、研究に当たった開設時から昭和63年度までの東北歯科大学の時期。研究体制の基礎が整えられ発展した時期で、この時期には当初の3人に加え、安島仁子、彦坂和雄、萩野顕彦の3人の助手が引き継いで教室員に加わりました。

第Ⅱ期は、平成元年から13年までの栗原康教授を中心とした奥羽大学として新たな歩みを始めた時期です。この時期は大きな転換期となり、研究室および教室員の縮小が図られました。教室員は、病理学講座から移動してきた斉藤勇助手を加えた最大5人の時期から萩野助手の転出、吉田教授の転出、天貝講師の生理学講座からの移動、斉藤助手の口腔解剖学第2講座への移動を経て、最終的に栗原教授(最終2ヵ年は客員教授)、栗城講師、天貝講師の3人体制となりました。

第Ⅲ期は、栗原教授の退任と天貝講師の転出後、平成15年からの栗城教授に伊原禎雄講師を迎えての二人体制の時期で、平成20年に生体構造学講座から齋藤勇准教授を迎え三人体制になりました。

そして平成25年3月の栗城教授の退任、同年4月の馬場教授の着任、平成26年3月の伊原講師の退任、同年4月の今井准教授の着任、平成27年馬場教授退任により現体制となっております。


教育活動

平成14年度に、全国歯科大学および歯学部にコアカリキュラムが導入されて以来、一般教育科目としての生物学の位置付けが明確化され、内容も厳選されてきました。

現在、講義は「生物学」として1学年に配置され、〈細胞生物学〉という枠組みで、生命体の基本となる細胞の分子レベルでの構造と機能、分子遺伝学やその基本としての遺伝学の基礎から応用までを、〈個体の体制・発生学〉という枠組みで、生物の基本的な構造と機能および個体および器官発生の教育を行っており、生物学的なものの見方、人を含めた生命体に対する基本的な生命観を涵養させることを目標としています。

実習は生命体を細胞レベルと個体レベルに分け、前者については植物、動物および微生物の細胞構造を顕微鏡によって観察し、後者についてはウシガエルを材料として脊椎動物における器官の構造と配列を理解させるための解剖を行っています。実習を通じて生命体の構造を細部にわたって識別し把握できる能力を涵養し、専門科目の実習に資することもおおきな目標です。


研究テーマ

創設期の研究活動は、アカネズミを用いた4種類の基本味覚の研究、特殊飢餓状態における野生ネズミの食物選択行動の研究と、火山地帯における土壌動物相の生態学的研究の2本立てで始まり、その後、味の認識に関する中枢神経機序の研究、神経成長因子によってチロシン残基がリン酸化されるタンパク質の検索の研究が若手教室員によって精力的に進められました。この時期に若手教室員は横浜国立大学環境科学研究センター土壌環境生物学研究室と東京都立神経科学総合研究所医学心理学研究室に短期間の国内研修に出張するなど研鑽に努めました。また一連の研究のほかに、国際生物学事業計画の一部である特定研究「生物圏の動態」(昭和47年)、日本土壌協会実施による「土壌生物活性に関する調査研究」(昭和56-60年)、日産科学振興財団助成による「林野火災の拡大機構とその跡地における生体機能の回復過程に関する研究」(昭和59-61年)に従事してきました。

栗原教授が赴任してからのⅡ期は、土壌動物の研究はさらに進展し、山地湿原に生息する土壌動物、特にササラダニの生態分布、生活環、土壌生態系における機能等が次々に解明されていきました。平成6-9年には福島、群馬、新潟三県による尾瀬学術総合調査に参加し、多くの成果を得ることができました。また、生理学講座および東京歯科大学との連携で行った各種培養細胞の形態および機能に関する研究では輝かしい成果を得ています。栗原教授は学内での研究に直接関わることはありませんでしたが、教室員の指導に当たる一方で、国立環境研究所客員研究員(平成1-4)、バイオテクノロジーを活用した新排水処理システム開発委員(平成1-2年)、日本ユネスコ国内委員会自然科学系小委員会調査委員(平成3-4年)、学術審議会専門委員(平成3-4年)の公職専門委員の要職を務めました。

第Ⅲ期では動物生態研究の拡充に伴い、ササラダニや両生類を利用した湿地生態系における環境評価法の確立を目指した研究に着手し、平成17年からは新技術開発財団の研究助成を受け、横浜国立大学との共同で静岡県熱海市において〔植物研究園におけるササラダニの多様性評価と環境評価〕のテーマで研究を進めました。また、齋藤准教授は歯科用レーザーの鎮痛作用に関する研究とSEMEDXによる錠剤の品質管理に関する研究で、歯科専門講座および薬学部との共同研究を進めました。また、平成23年の東日本大震災による福島第一原発事故以降、伊原講師は国立環境研究所客員研究員(平成24-現在)として、さらには放射線医学総合研究所とは共同で野生動物における放射線の影響をテーマに調査を行いました。

そして平成25年4月から、エナメル・象牙質形成における形成調節機構について魚類-哺乳類で比較を行いながら研究を進めており、また平成26年4月からは全胚培養で実績を挙げて来た今井准教授を迎え、培養法と分子生物学的な手法を組み合わせた、顎顔面頭蓋領域器官の形成機構解明のための研究を行っています。


構成員紹介
今井 元 イマイ ハジメ 准教授

所属学会・団体名
  • 歯科基礎医学会
  • 日本解剖学会
  • 日本骨代謝学会
  • 日本歯周病学会
  • 国際歯科研究学会(IADRおよびJADR)
  • 発生生物学会
  • 下垂体研究会
  • 口腔病学会
  • 奥羽大学歯学会

平成25年以降の業績

原著論文

  1. Ratnayake RARK, Abduweli D, Jue SS, Baba O, Tabata MJ, Josephsen K, Fejerskov O, Takano Y: Organic Anion Transport in Rat Enamel Formation, J Oral Biosc 55: 40-46, 2013.
  2. Kamrun N, Tetsumura A, Nomura Y, Yamaguchi S, Baba O, Nakamura S, Watanabe H, Kurabayashi T. Visualization of the superior and inferior borders of the mandibular canal: a comparative study using digital panoramic radiographs and cross-sectional CT images. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 115:550-557, 2013.
  3. Wang Y, Ma K, Wang P, Baba O, Zhang H, Parent JM, Zheng P, Liu Y, Minassian BA, Liu Y: Laforin Prevents Stress-Induced Polyglucosan Body Formation and Lafora Disease Progression in Neurons. Mol Neurobiol 48:49-61, 2013.
  4. Kakhlon O, Glickstein H, Feinstein N, Liu Y, Baba O, Terashima T, Akman HO, Dimauro S, Lossos A: Polyglucosan neurotoxicity caused by glycogen branching enzyme deficiency can be reversed by inhibition of glycogen synthase. J Neurochem , 127(1):101-13, 2013.
  5. Prats C, Gomez-Cabello A, Nordby P, Andersen JL, Helge JW, Dela F, Baba O, Ploug T: An optimized histochemical method to assess skeletal muscle glycogen and lipid stores reveals two metabolically distinct populations of type I muscle fibers. PLoS One 8(10):e77774, 2013.
  6. Shitano C, Baba O, Kaneko S, Hosomichi J, Shimizu Y, Shibutani N, Usumi-Fujita R, Takano Y, Ono T: Alveolar bone loss induced by the orthodontic tooth movement under hypofunctional conditions in rats. Orthod Waves 72: 148-155, 2013.
  7. Shibata S, Sakamoto Y, Baba O, Qin C, Murakami G, Cho BH: An immunohistochemical study of matrix proteins in the craniofacial cartilage in midterm fetuses. Eur J Histochem 57(4):e39, 2013
  8. Ihara,S: Food habits of Post-metamorphic Hynobius tokyoensis in Winter and the Breeding Season in the Pacific Coastal Hilly Area of Central Japan. Current Herpetology 32:77-81, 2013.
  9. Liu Y, Zeng L, Ma K, Baba O, Zheng P, Liu Y, Wang Y: Laforin-Malin Complex Degrades Polyglucosan Bodies in Concert with Glycogen Debranching Enzyme and Brain Isoform Glycogen Phosphorylase. Mol Neurobiol 49:645-57, 2014.
  10. Abduweli D, Baba O, Tabata MJ, Higuchi K, Mitani K, Takano Y: Tooth replacement and putative odontogenic stem cell niches in pharyngeal dentition of medaka (Oryzias Latipes). Microscopy 63:141-153, 2014.
  11. Ihara,S: Food habits of the adult Japanese newts Cynops pyrrhogaster (amphibia: salamandridae) in the sub-alpine Yachidaira high moor, east-central Honshu, Japan. Current Herpetology 33:38-45, 2014.
  12. Albers PH, Pedersen AJT, Birk JB, KristensenDE, Vind BF, Baba O, Nohr J, Hojlund K, Wojtaszewski JFP: Human muscle fiber type specific insulin signaling ? Impact of obesity and type 2 diabetes. Diabetes 64(2):485-97, 2015.
  13. Takezawa Y, Baba O, Kohsaka S, Nakajima K: Accumulation of glycogen in axotomized adult rat facial motoneurons. J Neurosci Res 93(6):913-21, 2015.
  14. Kristensen DE, Albers PH, Prats C, Baba O, Birk JB, Wojtaszewski JFP: Human muscle fibre type-specific regulation of AMPK and downstream targets by exercise. J Physiol 593(8):2053-69, 2015.
  15. van de Weerd R, Alvaro Berbis M, Sparrius M, Maaskant JJ, Boot M, Paauw NJ, de Vries N, Boon L, Baba O, Canada FJ, Geurtsen J, Jimenez-Barbero J, Appelmelk BJ: A Murine Monoclonal Antibody to Glycogen: Characterization of Epitope-Fine Specificity by Saturation Transfer Difference (STD) NMR Spectroscopy and Its Use in Mycobacterial Capsular α-Glucan Research. Chembiochem 16(6):977-89, 2015.
  16. Baba O, Ota MS, Terashima T, Tabata MJ, Takano Y: The expressions of transcripts for fibroblast growth factor 18 and its possible receptors during the postnatal dentin formation in rat molars. Odontology, (in press, Epub Ahead of Print).

総説・著書

  1. 宗像源博,立川敬子,能村嘉一,馬場麻人,春日井昇平:ポリ乳酸デバイスをスペースメイキングに用いた骨移植材を併用しない上顎洞底挙上術の臨床学的検討.別冊ザ・クインテッセンス YEARBOOK2013 日常臨床で必ず使える!歯内療法克服の一手;特別付録 第2回クインテッセンス論文奨励賞 166-173,2013.
  2. 伊原禎雄:放射能汚染で生じた狩猟者の急減、そして失われた野生動物管理の実行力、求められる住民参加の取り組み.公益財団法人森林文化協会グリーン・パワー2013. 10月号: 6-7, 2013.

学会発表

  1. Abduweli D, Baba O, Takano Y: Teleost fish Medaka- A new experimental modal for tooth regeneration. 2nd Meeting of IADR Asia/Pacific Region (APR), Aug. 21-23, 2013, Bangkok, Thailand.
  2. Shitano C, Baba O, Kaneko S, Hosomichi J, Shimizu Y, Shibutani N, Usumi-Fujita R, Takano Y, Ono T: Alveolar bone loss induced by hypofunctional tooth movement in rats. 2nd Meeting of IADR Asia/Pacific Region (APR), Aug. 21-23, 2013, Bangkok, Thailand.
  3. 伊原禎雄:南相馬市小高区津波被災地における両生類の復活状況、日本爬虫両棲類学会第52回大会,2013年11月2-3日,札幌市.
  4. 馬場麻人,太田正人,寺島達夫,田畑 純,高野吉郎:Fibroblast growth factor (FGF)18とFGFRのラット象牙質形成過程での発現.日本解剖学会第119回学術大会,2014年3月27-29日,自治医大、栃木.
  5. 今井 元,馬場麻人:マウス胚におけるGnRH-ニューロンの移動に非依存的な性腺刺激ホルモン分泌細胞の出現.第56回歯科基礎医学会, 2014年9月25-27日, 福岡.
  6. 今井 元,鈴木礼子:摂食中枢と生殖調節のネットワーク形成機構に対する実験発生学的解析:哺乳類におけるGnRH-ニューロンの移動経路の形成に対する前方中軸中内胚葉の役割.第57回歯科基礎医学会,2015年9月11-13日,新潟

研究会・依頼講演・その他

  1. 伊原禎雄:福島の野生動物の被曝状況および深刻化する猟師急減の影響.第24回ブナ林と狩人の会:マタギサミット.2013年6月29日,猪苗代,福島.
  2. 馬場麻人:歯冠から歯根形成の変化を考える-FGF18の発現を指標として-. 第14回 エナメル質比較発生学懇話会,2013年8月29日-30日,瀬波温泉,新潟.
  3. 伊原禎雄:野生鳥獣の生態と被害防止対策について(1.ハクビシンとアライグマ対策について).郡山市鳥獣被害防止対策協議会主催 平成25年度鳥獣被害防止研修会2013年11月19日,郡山,福島.
  4. 馬場麻人:FGF-FGFRによる象牙質形成制御. フロンティアミーティングin新潟(旧戦略的研究基盤形成支援事業研究集会),2014年2月21日~22日,新潟大学歯学部,新潟.